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山口地方裁判所 昭和60年(わ)42号 判決 1985年10月04日

本籍

福岡県鞍手郡若宮町大字竹原三四三番地の四

住居

山口県光市虹ケ丘三丁目二九番一一号

金融業及び調理器具小売業

吉村浩

昭和一一年五月三〇日生

右の者に対する所得税法違反被告事件について、当裁判所は、検察官仲内勉出席のうえ審理し、次のとおり判決をする。

主文

被告人を懲役一年六月および罰金三〇〇〇万円に処する。

右罰金を完納することが出来ないときは金五万円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置する。

この裁判確定の日から三年間右懲役刑の執行を猶予する。

訴訟費用は被告人の負担とする。

理由

(罪となるべき事実)

被告人は、山口県徳山市柳町二九番地において三愛ローンの名称で金融業を、同県岩国市御庄一丁目一〇三番地の五などにおいてインコアジャパン株式会社等の名称で調理器具小売業をそれぞれ営んでいたものであるが、自己の所得税を免れようと企て

第一  昭和五六年分の所得金額は四九三八万九六二五円で、これに対する所得税額は二三五六万九四〇〇円であったにもかかわらず売上除外等により右所得の一部を秘匿した上、同五七年三月一五日、住所地所轄の同県光市虹ケ浜三丁目一〇番一号所在の光税務署において同税務署長に対し、右年分の所得金額は二三二万三〇四九円で、これに対する所得税額は四万五七〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、もって不正の行為により、所得税二三五二万三七〇〇円を免れ

第二  同五七年分の所得金額は八五〇〇万九九六一円で、これに対する所得税額が四八〇一万一一〇〇円であったにもかかわらず、前同様の行為により右所得の一部を秘匿した上、同五八年三月一五日、前記光税務署において、同税務署長に対し、右年分の所得金額は一二一万〇二〇一円で所得控除額一八五万六〇四〇円を控除すると所得金額、所得税額ともに〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、もって不正の行為により、所得税四八〇一万一一〇〇円を免れ

第三  同五八年分の所得金額は六七八七万二六一二円で、これに対する所得税額は三二三八万六八〇〇円であったにもかかわらず、前同様の行為により右所得の一部を秘匿した上、同五九年三月一五日、前記光税務署において、同税務署長に対し、右年分の所得金額は九六七万一四二一円で、これに対する所得税額は四〇万五五〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、もって不正の行為により所得税三一九八万一三〇〇円を免れ

たものである。

(証拠の標目)

判示事実全部につき

一  被告人の当公判廷における供述

一  被告人の検察官に対する各供述調書および大蔵事務官に対する各質問てん末書

一  大蔵事務官作成の査察官調査書(一八通)

一  光税務署長作成の青色申告の承認の取消決議書(謄本)

一  谷口政夫(三通)、平野一雄(三通)、金丸博、鹿野滋(二通)、若槻昭二、佐古昇、高岸隆造および松本明宏各成の回答書

一  井本竹次郎、見永秀雄、神田博司、田辺健一、山本勝敏、卜部博文、岡村精二、佐藤保、清岡常吉、福谷三典、安保隆一、島田昭および細川孝各作成の証明書

一  被告人(四通)および河村勉各作成の上申書

一  河村勉および山中泰雄各作成の答申書

一  吉村光子、垣村優子、石井義夫(八通)、西田幸夫(二通)、梅田義明、丸田誠治、大前勝己、岩田公男、田中信二、武井省壮、真角政子、山本哲二、河村勉(二通)、吉本和生(三通)、津島正人(三通)、河村春人および柳沢トミ子の大蔵事務官に対する各質問てん末書

一  押収してある売上帳二綴(昭和六〇年押第四二号の五、九)、売掛金(集金)帳一冊(同押号の一六)、集金カード三綴(同押号の一七の一ないし三)、送金帳一冊(同押号の一八)、振込金受領書一綴(同押号の二〇)、商品出納帳一綴、商品有高帳二綴(同押号の三〇の一ないし三)、商品管理帳一綴(同押号の三一)、在庫帳六冊(同押号の三二の一ないし六)、給料支払明細書七冊(同押号の三三)、青色申告承認申請書一枚(同押号の五六)、所得税青色申告決算書綴一綴(同押号の五七)および貸付台帳一綴(同押号の六六)

判示第一の事実につき

一  大蔵事務官作成の脱税額計算書(五六年度)

一  被告人作成の修正申告書(五六年分)(謄本)

一  須山裕の大蔵事務官に対する質問てん末書

一  押収してある確定申告書(五六年分)一枚(同押号の一)、売上帳一綴(同押号の四)、総勘元帳一綴(同押号の四〇)、伝票綴一綴(同押号の四四)およびインコアジャパン資料二綴(同押号の四七、四八)

判示第一、第二の各事実につき

一  薮下澄香の大蔵事務官に対する質問てん末書

一  押収してある売上実績表一綴(同押号の六)、給与計算書三綴(同押号の三五)および貸付台帳一綴(同押号の七〇)

判示第一、第三の各事実につき

一  戸村慶一、福田幾代(二通)、名和節子、兼重隆夫および藤本隆一の大蔵事務官に対する各質問てん末書

判示第二の事実につき

一  大蔵事務官作成の脱税額計算書(五七年度)

一  被告人作成の修正申告書(五七年分)(謄本)

一  西村チエコの大蔵事務官に対する質問てん末書

一  押収してある確定申告書(五七年分)一枚(同押号の二)、禀議書一綴(同押号の一二)、金銭出納帳三冊(同押号の二八、三六、三七)、総勘定元帳一綴(同押号の四一)、伝票綴一綴(同押号の四五)、普通預金通帳二冊(同押号の四九)、雑メモ一袋(同押号の五〇)、契約書綴一綴(同押号の五一)、領収証綴三綴(同押号の五四)、領収証一綴(同押号の五五)

判示第二、第三の各事実につき

一  内田晃、有吉芳子、貞国幸子、小川満子、磯村綾子、野村千代子および左右田美代子の大蔵事務官に対する各質問てん末書

一  押収してある売上実績表二綴(同押号の七、一三)、売上帳一綴(同押号の一〇)、売上明細表一袋(同押号の一一)、金銭出納帳一冊(同押号の一四)、領収証(控)一綴(同押号の一五)、大信販入金予定表一綴(同押号の一九)、貸付台帳袋入一袋(同押号の六三)および貸付台帳二綴(同押号の六五、六七)

判示第三の事実につき

一  大蔵事務官作成の脱税額計算書(五八年度)

一  被告人作成の修正申告書(五八年分)(謄本)

一  大蔵事務官作成の調査事績報告書

一  三浦敬次、佐古雅夫、高村重子、岡本キヨ子、内山吉一、吉広嘉守および貞益順子の大蔵事務官に対する各質問てん末書

一  押収してある確定申告書一枚(五八年分)(同押号の三)、売上実績表一綴(同押号の八)、雑書類一綴(同押号の二一)、議事録綴一綴(同押号の二二)、売上帳一綴(同押号の二三)、伝票綴一綴(同押号の二九)、賃金台帳一綴、給料計算書一袋(同押号の三四の一、二)、振替伝票一綴(同押号の三八)、総勘定元帳二綴(同押号の三九、五八)、伝票綴四綴(同押号の四二、四三、五九、六〇)、日計表一綴(同押号の四六)、振込帳三冊(同押号の五二)、賃貸借物件説明書一綴(同押号の五三)、源泉徴収簿一綴(同押号の六一)、貸付台帳四綴および三枚(同押号の六二、六四、六八、六九、七一の一ないし三)

(法令の適用)

判示各所為 所得税法二三八条一項、二項(いずれも懲役刑と罰金刑を併科)

併合罪加重 刑法四五条前段、四七条本文、一〇条(犯情の最も重い判示第二の罪の刑に加重)(懲役刑につき)、同法四八条二項(罪金刑につき)

労役場留置 同法一八条

執行猶予 同法二五条一項

訴訟費用 刑事訴訟法一八一条一項本文

(裁判官 七沢章)

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